マイコプラズマと免疫反応について
2008.12.04 Thu
2008.11.27 Thuに書いた記事、マイコプラズマにおいて白血球が増加しない理由は?
に対する追加記事です。
先に結論的な事を言うと、最新論文を読んだ結果、
「白血球が増加しない理由は未だよく分かっていない」が答えのようです。
どういうことかは、以下の記事を読んでみて下さい。
マイコプラズマに対する宿主の応答は詳細に検討されているが,
いまだに何が感染防御のメインとして機能しているのか,
何が肺炎の病態を誘導しているのか完全に解明されていない。
[Source:久留米医学会雑誌(0368-5810)70巻9-10 P.273(2007.10)]
まず今回僕が一番有用だと思った論文の最後に書かれていた文章です。
つまり、白血球があがる免疫反応がおこる機序が分かっていない以上、
白血球がなぜ増加しないか、それは解明されていないということです。
ただ、前回ご紹介したアメリカの医学書ハリソンには、
微々たる増加を認めると書いてあったので、よく分からないシステムで、
なぜだか知らないけど白血球は増加しちゃうんだということみたいです。
桑野剛一さんの論文には
「マイコプラズマの病原因子とその宿主における免疫応答について」と称して、
マイコプラズマの病原性に関与する因子
(1) 付着因子
(2) 活性酸素
(3) 毒素
(4) 免疫反応
a) 自然免疫
b) 獲得免疫
という項目についてそれぞれ説明がされており、かつ研究がされていると書かれています。
さらにa) 自然免疫の項目のところに
「胞マクロファージによる貪食は一般の細菌感染よりその排除効率は劣る」
ということから、あまり免疫系が作用していないのも
白血球数が増加しない理由なのかもしれません。
人間の体はマイコプラズマという不思議な生物にどうしていいのか分からず、躊躇している
それが白血球の増加しない理由なのかもしれません。
ということで、最後にマイコプラズマの特徴と、
シジロが読んだ論文一覧を明記して、終わりにしたいと思います。
マイコプラズマの特徴
1.Cell-freeの環境で増殖が可能である
2.増殖可能な最小粒子の径は300nmである
3.細胞壁(ペプチドグリカン)をもたない
4.固形培地(PPLO培地)で目玉焼き状のコロニーを形成する
5.発育増殖にコレステロールを必要とする
6.細胞壁合成阻害剤であるβ―ラクタム系抗菌剤は無効である
[Tully JG I Biology of Mycoplasma, Mycoplasma
infection of cell culture, 1978 より引用]
[参考論文・参考文献]
マイコプラズマ肺炎の病態と治療
矢野敬文
やのクリニック 元国立病院九州医療センター呼吸器科
日本医事新報, (4065) : 25-30, 2002.
【急性呼吸器感染症の新たな治療戦略】 マイコプラズマ肺炎の病態と治療戦略(解説/特集)
Author:田中裕士(札幌医科大学 医学部第三内科), 成田光生, 千葉弘文, 阿部庄作
Source:分子呼吸器病(1342-436X)7巻6号 Page553-555(2003.11)
【マイコプラズマ感染症の基礎と臨床】 マイコプラズマ肺炎の病態とサイトカイン(解説/特集)
Author:早川雅之(杏林大学 医学部 第一内科), 渡辺秀裕, 河合伸, 後藤元, 小林宏行
Source:臨床と微生物(0910-7029)30巻1号 Page63-67(2003.01)
医学・医療の最前線シリーズ マイコプラズマの病原因子と免疫応答(総説)
Author:桑野剛一(久留米大学 医学部感染医学講座基礎感染医学部門)
Source:久留米医学会雑誌(0368-5810)70巻9-10 Page267-273(2007.10)
最近話題の感染症 マイコプラズマ
中村昌弘
久留米大学医学部細菌学教室
臨床病理, 33(8) : 898-904, 1985.
マイコプラズマの微生物学的位置と病理
中村昌弘*
*久留米大学医学部微生物学教室・細菌学講座
日本臨牀, 35(9) : 2703-2708, 1977.

